四則計算、π、三角関数、微分積分。
高校までに学んできた様々な数学の公式。
それらがどういう歴史的背景で編み出され、発展したのかを数式とともに紐解いていく本を読んだ。
数学への苦手意識が少しほどける
よく、「つきつめていくと化学は物理になり、物理は数学になり、数学は哲学になる」と言われる。
前ふたつはなんとなくわかる。化学は反応に関わる熱や遷移エネルギーの話が欠かせないし、物理も膨大な計算や数式によって成り立っている。でも、数学が哲学になるってどういうことだ。
どうやら、 ”数学の出発地点が哲学だったから” ということらしいのだ。
古代ギリシャの哲学者・ピタゴラスは宇宙の全てを数で理解しようとした。彼の創設したピタゴラス教団は数についての研究を深め、やがてその知識はイスラム圏、ヨーロッパへと伝わっていった。その後、時代的な需要や新たに生まれる疑問を飲み込みながら、数学は発展する。
なるほど。原点が哲学にあるから、というのは納得感がある。この世の理を数式で描き出そうという試みは哲学的だ。
正直、数学は得意ではないので本書で紹介された理論を理解しきれた気はしない。
けれど、数学という学問の成り立ちを追えるのは存外に面白かった。
もしかして、数学史を追ってから高校の数学3Cを学んでいれば、もっと分かりやすかったんじゃないだろうか。少なくとも、「なんか同じカテゴリに括られてるけど思想設計違わない?」みたいな内容に混乱せず済んだだろうな、と思う。
微分積分などは、ニュートンとライプニッツの2人がそれぞれ組み立てた理論が統合されていったものらしい。元々は異なる発想・着目がちゃんぽんして作られていたのなら、なるほど、混乱するのも仕方ない。
(この発言は数学が得意な夫には全く理解されなかったが)
科学史として面白い本だったので、数学が得意な人も、数学が苦手な人も、一度手に取ってみてはいかがだろうか。