パラタイプエー

"刺さった本"の感想・書評を書いています。

小説

消費世界に引き摺り出された作り手の苦悩|『うるさいこの音の全部』

人間、大なり小なり何かのキャラクターを演じている。 それは会社の中の役職かもしれないし、SNSのハンドルネームかもしれないし、友人の中での役回りかもしれないが、それゆえに「この立ち位置ならこういう言動をした方が (/しない方が) いいだろうな」とい…

学問に触れる人類は須く「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を読むべき。できれば前情報0で。

アンディ・ウィアーの第三作目「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は人類の科学史が見事に描かれたSF小説だった。科学描写の面からその魅力を紹介する。【書評・感想】

日常がじわりと燃え落ちていく現代ホラー|『骨灰』

2023年の直木賞候補作「骨灰(冲方丁) 」のレビュー・書評記事。 東京という都市を舞台に祟りが巻き起こる新鮮なホラー小説。日常が侵食され、じりじり灼かれるような恐怖が魅力の作品。

CoCみを感じる三段構成伝承ホラー|ヨモツイクサ【書評・感想】

北海道を舞台にした、伝承ホラー「ヨモツイクサ」のレビュー・感想。クトゥルフ神話TRPG (CoC) をプレイしているような雰囲気と三段構えのストーリーが面白い小説。

湿気が纏わりつくようなホラー短編集|『梅雨物語』【書評・感想】

貴志祐介のホラーは、怖い。 大抵のホラー、特にジャパニーズホラーには耐性値が高い私だが、貴志作品のホラーには毎度身構える。ある種のトラウマに近いかもしれない。 もう20年近く前、世間一般より早く親元を離れて中高一貫の学生寮で生活していたころの…

『かわいそ 笑』物語の真相について(ネタバレ有)

para-a.net 『かわいそ 笑』はネットロアを題材にしたホラー小説だ。 ジャンルとしてはモキュメンタリーに当たるのだろうが、モキュメンタリーの枠に収まらない、読者を舞台上に引き摺り込むような仕掛けを伴った斬新な構成をしている。 意図的にストーリー…

現代版・現実侵食型ネットロア|『かわいそ 笑』【書評・感想】

(ネタバレなし) インターネット怪談、あるいはネットロア。そういったものに覚えはあるだろうか。『きさらぎ駅』『コトリバコ』『ひとりかくれんぼ』といった、ネット上で拡散した怖い話の総称だ。全盛期は2000年代、旧2ちゃんねるのオカルト板や洒落怖が…

『##NAME##』美砂乃ちゃんに脳を灼かれ続けている(ネタバレ有)

すこし前に、『##NAME##』という小説を紹介した。 親に求められるままにジュニアアイドルを目指していた少女が道を諦め、自分自身の感情と向き合えるようになるまでを描いた物語だ。 para-a.net ”美砂乃ちゃん”は主人公・雪那と同じ事務所に所属していたアイ…

2000年代カルチャーを巧みに絡めた少女の解放譚|『##NAME##』【書評・感想】

小説『##NAME##』は、2023年刊行の第169回芥川賞候補作。夢小説を中心とした2000年代カルチャーに絡め、少女が”自分”として生きていけるようになるまでを描いた作品だ。書評と感想を紹介する。

科学に誠実な珠玉SF|火星の人【書評・感想】

そういえば、去年(2022年)の12月頃、火星が地球に最接近したというニュースを目にした。数年前にも"大接近"とかで似たような話題を耳にした気がする。 調べてみると、どうやら公転周期の関係で火星と地球は2年に1回くらいのペースで接近しているらしい。地…

生き抜くための"弾丸"の話|砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない【書評・感想】

「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない(桜庭一樹先生)」を読み返した。鬱作品と名高い小説だけど、辛い現実を生き抜く祈りも感じられる名作です。【書評・感想】

謎解きにだけ集中できる、期待の新ミステリ|密室黄金時代の殺人【書評・感想】

鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』。謎解きにだけ集中できる工夫が新しいミステリー小説/推理小説だった。感想と書評を添えて紹介。