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"刺さった本"を紹介するブログ

日本一の繁華街の生態系が垣間見れる本|『ルポ歌舞伎町』

『ルポ歌舞伎町(國友 公司|彩図社)』の書評記事です。新宿歌舞伎町への潜入ルポルタージュを読んだ感想を公開しています。

「謎の作家」は何を描いたか|『増補バンクシービジュアルアーカイブ』書評・感想

「謎のグラフィックアーティスト」バンクシー。時々新作を発表してはネットニュースに話題を提供しているイメージが強い。 最近では、コロナ禍真っ只中のロンドン地下鉄で、衆人環視の中マスク着用を促すグラフィックを公開したり 「マスクをせよ、さらば与…

2023年3Q (7-9月) に読んだおすすめ本5選

今年も早いもので、残すところ3ヶ月を切ってしまった。 面白かった本として今回紹介するのは以下の5冊。 「好き」の因数分解 新種発見!見つけて、調べて、名付ける方法 ##NAME## バンクシー ビジュアルアーカイブ 骨灰 3Qに読んだ本 まずはざっくりとした振…

CoCみを感じる三段構成伝承ホラー|ヨモツイクサ【書評・感想】

知念 実希人『ヨモツイクサ』を読んだ。装丁デザインに惹かれて手に取った、いわゆる「装丁読み」だ。こういう小説はストーリーも好みであることが多い。 表紙には暗い森と、ヨモツイクサのタイトルがある。後ろには読み取れない程に滲んで透けた「黄泉軍」…

湿気が纏わりつくようなホラー短編集|『梅雨物語』【書評・感想】

貴志祐介のホラーは、怖い。 大抵のホラー、特にジャパニーズホラーには耐性値が高い私だが、貴志作品のホラーには毎度身構える。ある種のトラウマに近いかもしれない。 もう20年近く前、世間一般より早く親元を離れて中高一貫の学生寮で生活していたころの…

裏話から文化史まで。コラムで楽しむ服飾の世界|『モードの方程式』【書評・感想】

服飾が好きだ。自分自身はセンスが皆無だし、そもそも自分がいい服を着るのは技術と時間を尽くした高級なソースを屑肉にかけるようなものだと感じてしまうので、もっぱらユニクロのマネキンと同じような格好をしているのだけれど、生地とか、パターンとか、…

人気ディレクターがラジオと歩んだ10年|『アフタートーク』【書評・感想】

高校時代、勉強の相棒はラジオだった。 中学の技術の授業でハンダ付けして作ったチャチな携帯ラジオで、音はガビガビ。それがある種のホワイトノイズのように働くのか、妙に集中できた。狭い学生寮のデスク。 ラジオの程よく他人事な感じが好きだ。 カフェで…

『かわいそ 笑』物語の真相について(ネタバレ有)

para-a.net 『かわいそ 笑』はネットロアを題材にしたホラー小説だ。 ジャンルとしてはモキュメンタリーに当たるのだろうが、モキュメンタリーの枠に収まらない、読者を舞台上に引き摺り込むような仕掛けを伴った斬新な構成をしている。 意図的にストーリー…