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"刺さった本"の感想・書評を書いています。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

植物名の誤謬を切る軽快エッセイ|牧野植物随筆【書評・感想】

私は高知県の出身なのだが、そういえば高知の名士についての本を読んだことがなかった。そんな折に手に取ったのがこの本、「牧野植物随筆」だ。 牧野富太郎先生は高知県出身の植物学者で、日本の植物学の父とも呼ばれている。日本初の植物誌を編み、ヤマトグ…

仏教にも通じる哲学|バガヴァッド・ギーター (講談社学術文庫)【書評・感想】

『バガヴァッド・ギーター』とは、古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』の中の一幕。血族を巻き込んだ大戦争に心を痛めた英雄・アルジュナに対し、彼の導き手であるクリシュナが教え諭す場面を抜粋したものだ。 戦場の只中で膝を折るアルジュナに、クリシュ…

生き抜くための"弾丸"の話|砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない【書評・感想】

「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない(桜庭一樹先生)」を読み返した。鬱作品と名高い小説だけど、辛い現実を生き抜く祈りも感じられる名作です。【書評・感想】

「RRR」:知っていてより楽しめたインド神話知識

最高だったインド映画、「RRR」。 わかりやすいストーリーと派手な演出・アクションのおかげで前情報なしでも楽しめる作品だが、多くのインド文化・習俗・伝承にまつわる描写が練り込まれており、それらを知っているとより楽しめるようになっている。 私自身…