パラタイプエー

"刺さった本"の感想・書評を書いています。

2022-01-01から1年間の記事一覧

本へ書き込むということ

本が汚れることに抵抗感があった。 小説でも漫画でも、なるべく新品で買って綺麗に読む派だった。古本はなんだか嫌な感じがして、表紙にスレや傷がつくのも避けたかった。カドを折るドッグイヤーなんてもってのほか。ものを食べながら本を開く行為は万死に値…

非合理な愚かさを掘り下げる|「バカ」の研究【書評・感想】

なぜ人は非合理的で愚か(バカ)な行動をしてしまうのだろう。そんな永遠の謎を、心理の大御所研究者23人が大真面目に研究したのが本書だ。とてもいい本だったので、感想を添えて紹介したい。

本好きの自由研究|文庫本は何冊積んだら倒れるか【書評・感想】

本の雑誌社から刊行された、本好きな大人の自由研究といった面持ちの本。しょうもないけれどディープ読書好きには刺さる、そんな考察がまとまった良書。面白かったので書評を書いてみた。

くだらないものがわたしたちを救ってくれる|2022-11-24

「くだらないものがわたしたちを救ってくれる」(柏書房)は、線虫を使った遺伝子解析を研究している、韓国の研究者の書いたポピュラーサイエンス本だ。研究者の日常がありのままに文章にされており、読み物として面白い本だったので、感想を添えて紹介する。

ウタの少女性|2022-09-04の日記

今更ながらワンピースFILM REDを観てきたが、 ・庇護によって世界と断絶した子供・救世主の役を背負わされた少女・悪意なき罪人・スケールのでかい自己犠牲 と、好きな概念てんこ盛りで心臓をやられてしまった。 曲を聞いているだけで解釈が刺さり、スリップ…

ゴールデンカムイ考|2022-05-10の日記

金カムロスを引きずっているのでつらつらと書く。 個人的に考える金カムは「大切なもの(多くが失った家族。あるいは夢、死に場所)」を取り返して故郷に帰る話。 杉本は物語の最後に新しい故郷と家族を得る。白石は孤児で大切なものも故郷もなかったけれど…

ゴールデンカムイ完結|2022-04-28の日記

ゴールデンカムイ完結。最終回、見事だった。見事だったとしか言えない。 よくあれだけの話をちゃんと畳みきったな、と思う。 ワンシーン「山猫の死」に意識を持っていかれた。 後日談のたった一コマでしかないが、そこに描かれている情報量にくらくらする。…

感情ぐるぐる漫画|2022-04-23の日記

売れっ子漫画家×うつ病漫画家 を読む。Twitterトレンドから。 すごい漫画だ。読み進めると見え方が二転三転する。 序盤は「信用できない語り手」。 どん底の受けを掬い上げて世話を焼く攻め。その動機や熱意はなんなのか、というところに違和感や不穏さ、薄…