売れっ子漫画家×うつ病漫画家 を読む。Twitterトレンドから。
すごい漫画だ。読み進めると見え方が二転三転する。
序盤は「信用できない語り手」。
どん底の受けを掬い上げて世話を焼く攻め。その動機や熱意はなんなのか、というところに違和感や不穏さ、薄気味の悪さが見え隠れしている。ただ、13話で精神をやられている人間の認知の歪みから、描かれているものが真実ではなかった可能性を示唆される。
「人間はありもしない記憶を捏造するものだ」
「私があなたの背後にいるときに私の顔が見えたなら それを信じないでください」
確かにこれまで違和感を感じさせる描写がされているシーンはいずれも受けの視点から攻めの表情が見えなくなっていた。なるほど。これは受けのメンタル不調からくる疑心暗鬼、被害妄想だったのか。確かに攻めは少し距離感が変だし他人に対して過保護がすぎるけど、精神性がおかしい人ではなかったのだな。日常描写を見ると普通に良い子じゃないか。
そう思わせておいてからの15話ですよ。
真っ向から顔を見て、それでも言動がおかしい。精神性が真っ当ではない。指摘する。それは慈善なんかじゃなく、性欲じゃないか。 もう、どちらの視点が正しいのかわからない。おそらくどちらもズレているんだと思う。お互いの目に見えているものがまるで違う。不穏さ、薄気味の悪さが舞い戻ってくる。
誰の主観で、誰にとっての事実なのか。
タイトル下説明文は「売れっ子漫画家がうつ病漫画家にスパダリしながら療養させて二年以上かけて幸せにする話」。不穏なのは今だけ、被害妄想x無自覚クソデカ感情の衝突事故と思いたい。