2023-01-01から1年間の記事一覧
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アンディ・ウィアーの第三作目「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は人類の科学史が見事に描かれたSF小説だった。科学描写の面からその魅力を紹介する。【書評・感想】
2023年の直木賞候補作「骨灰(冲方丁) 」のレビュー・書評記事。 東京という都市を舞台に祟りが巻き起こる新鮮なホラー小説。日常が侵食され、じりじり灼かれるような恐怖が魅力の作品。
『ルポ歌舞伎町(國友 公司|彩図社)』の書評記事です。新宿歌舞伎町への潜入ルポルタージュを読んだ感想を公開しています。
「謎のグラフィックアーティスト」バンクシー。時々新作を発表してはネットニュースに話題を提供しているイメージが強い。 最近では、コロナ禍真っ只中のロンドン地下鉄で、衆人環視の中マスク着用を促すグラフィックを公開したり 「マスクをせよ、さらば与…
北海道を舞台にした、伝承ホラー「ヨモツイクサ」のレビュー・感想。クトゥルフ神話TRPG (CoC) をプレイしているような雰囲気と三段構えのストーリーが面白い小説。
貴志祐介のホラーは、怖い。 大抵のホラー、特にジャパニーズホラーには耐性値が高い私だが、貴志作品のホラーには毎度身構える。ある種のトラウマに近いかもしれない。 もう20年近く前、世間一般より早く親元を離れて中高一貫の学生寮で生活していたころの…
服飾が好きだ。自分自身はセンスが皆無だし、そもそも自分がいい服を着るのは技術と時間を尽くした高級なソースを屑肉にかけるようなものだと感じてしまうので、もっぱらユニクロのマネキンと同じような格好をしているのだけれど、生地とか、パターンとか、…
高校時代、勉強の相棒はラジオだった。 中学の技術の授業でハンダ付けして作ったチャチな携帯ラジオで、音はガビガビ。それがある種のホワイトノイズのように働くのか、妙に集中できた。狭い学生寮のデスク。 ラジオの程よく他人事な感じが好きだ。 カフェで…
para-a.net 『かわいそ 笑』はネットロアを題材にしたホラー小説だ。 ジャンルとしてはモキュメンタリーに当たるのだろうが、モキュメンタリーの枠に収まらない、読者を舞台上に引き摺り込むような仕掛けを伴った斬新な構成をしている。 意図的にストーリー…
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すこし前に、『##NAME##』という小説を紹介した。 親に求められるままにジュニアアイドルを目指していた少女が道を諦め、自分自身の感情と向き合えるようになるまでを描いた物語だ。 para-a.net ”美砂乃ちゃん”は主人公・雪那と同じ事務所に所属していたアイ…
最近、電車での移動中はなるべく本を読むことにしている。 数年前、東京に住んでいた頃では考えられなかったことだ。通勤時間の東京の電車はあまりにも人との距離が近すぎて、イヤホンで情報を遮断しては、体で隠すように抱えたスマホの上で指を動かすことし…
2023年7月に読んだ「センス・オブ・シェイム」「ストーンヘンジ」「Another side of 辻村深月」「宗教のレトリック」の4冊について、短い書評と感想を書きました。
小説『##NAME##』は、2023年刊行の第169回芥川賞候補作。夢小説を中心とした2000年代カルチャーに絡め、少女が”自分”として生きていけるようになるまでを描いた作品だ。書評と感想を紹介する。
そういえば、去年(2022年)の12月頃、火星が地球に最接近したというニュースを目にした。数年前にも"大接近"とかで似たような話題を耳にした気がする。 調べてみると、どうやら公転周期の関係で火星と地球は2年に1回くらいのペースで接近しているらしい。地…
詩人である最果タヒ氏の、”好きなもの”について突き詰めたエッセイ『「好き」の因数分解(リトルモア)』についての書評・感想。 短い本ながら、著者の鋭い視線と無駄の削ぎ落とされた鮮烈な言葉が魅力的な一冊だった。
『ジンセイハ、オンガクデアル (ちくま文庫) 』は、ブレイディみかこ氏の高い筆力で描かれる、英国貧困層の暮らしと底辺託児所での仕事をもとにしたエッセイだ。この記事では、書籍に土えの詳しい感想と書評を紹介する。
文筆家・アオミ ソウが2023年上半期に読んだ55冊の中から、特に面白かった本を5冊紹介します。
継続。それは最も重要で、かつ難しいことだと思う。 仕事だって、趣味だって、生活だって、つまみ食いしてすぐに手放す人よりも、長年継続し続けている人の方がより高い視座と技術を持っている。 私は継続が苦手な方だ。初めのうちはのめり込んで、それ以外…
『ファッション ファッショ(講談社)』は、ファッション評論家のピーコ氏と、小説家の山田詠美氏との対談本。 大人の女子会といったざっくばらんな雰囲気で、二人のファッション哲学や信念が垣間見える一冊だ。この記事では、本書の魅力を紹介する。
『考える短歌』は、『サラダ記念日』の俵万智による、短歌の文章表現についての本。効果的な言葉の選び方について、読者の短歌を添削する形で解説されている。詩歌だけでなく、一般的な文章執筆に通じる内容でもあるため、短歌にとどまらず表現のレベルを上…
読書メモを書く人、書かない人、さまざまだと思う。 私は結構まめにメモを記録している方だ。研究職をしていた者の習性か、細かなデータを残して分析すること、それ自体がなんとなく楽しい。 この読書メモを書く際、意識的にスコアリングしている項目がある…
『めがねを買いに(WAVE出版)』は、眼鏡スタイリストである藤裕美氏が個性的な眼鏡の選び方を解説する本。書籍の感想と面白かった点を紹介する。【書評】
人や動物はどのようにものを「見て」いるのか。目の成り立ちから、光を感知する仕組み、光に関わる生態までを扱ったポピュラーサイエンス本『奇想天外な目と光のはなし(入倉 隆|雷鳥社)』を紹介。
表題の本を読んだ。 年間500冊もの書評を執筆する書評家・印南 敦史氏による執筆論の本だ。 脅威の仕事量の書評家・印南 敦史 印南氏は紙・WEB媒体を問わずに執筆しているベテランの書評家で、その執筆量は月40本にものぼるという。 以下は本書で挙げられて…
『天才による凡人のための短歌教室』は、現代短歌ブームを牽引する木下龍也氏の初心者向け指南書。具体的な作歌手法や創作方針が紹介され、木下氏自身が商業的歌人になるまでの足跡が描かれている。創作を職業とする者にとっては貴重な洞察が詰まった一冊。
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ルカ・トゥリン氏らによる「世界香水ガイドⅢ」を読んだ。 ルカ・トゥリン氏はレバノン出身の生物物理学者で、香りに関する研究の第一人者だ。彼は2001年と2004年にフランスで香水批評の最高栄誉であるジャスミン賞を受賞し、2009年には英国でも同賞を受賞す…
【書評・感想】『ライティングの哲学』は書く苦しみと試行錯誤の過程がリアルに読める本だ。執筆論の本では珍しく思考プロセスにライトが当たっており、書き手として有用な一冊だ。