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"刺さった本"の感想・書評を書いています。

2023年上半期:パラエー的おもしろかった本ベスト5

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2023年上半期ベスト5

今週のお題「上半期ベスト◯◯」

早いもので今年ももう半分が過ぎてしまった。
せっかくなので、今期も読んだ本の中から特に面白かったものを紹介しようと思う。

去年のおすすめ本はこちらで紹介している。興味があればご覧いただけると嬉しいが、別サイトで公開していたのでこちらと文体が違うのはご容赦いただきたい。

aomi-sourui.com

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2023年の上半期は55冊の本を読んだ。

買うだけ買って積んでいる本、図書館で借りて読み切らずに返却してしまった本を合わせるともっと多いが、読書メモなどの記録は残していないので除外する。

2023年上半期にアオミ ソウが読んだ本の冊数

月別に読んだ冊数のグラフ。5、6月は引っ越しがあったのでガクンと落ちている。

読書データは去年の春からとりはじめたが、着々と情報が増えていっている。とてもいい。収集癖がある人間はデータを収集すると場所も取らず満足感が得られておすすめだ。


この55冊の中から5冊を選んで紹介する。

ヒエログリフを解け

ピックアップして気づいたが、書評を書いていなかった。

古代エジプトの象形文字・ヒエログリフ。現代では読み方が明らかになり、意味を込めた文字を刻んだアクセサリーなども数多く販売されているが、その解読には長い時間と労力が費やされた。

本書はヒエログリフ解読に王手をかけた2人の学者、多芸多才の秀才・ヤングと情熱型の天才・シャンポリオンを主軸に添え、未知の言語の解明に迫るノンフィクションだ。

ナポレオンのエジプト遠征から2人の学者による研究アプローチまで、ドラマのようなエピソードが多く、読み物として面白かった。


歌集副読本『老人ホームで死ぬほどモテたい』と『水上バス浅草行き』を読む

短歌に対するイメージを一変させてくれた本。地元の図書館での邂逅というエピソード込みであるが、とても印象深い一冊だ。

本書のメインは、現代短歌のふたりの若手歌人、上坂あゆ美氏と岡本真帆氏の対談。二人が、互いの初歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』と『水上バス浅草行き』ついて解説・批評している。

短歌31文字に使われている技法や視点の特徴が紹介されるため、短歌に馴染みのない人でも一般書と同じ感覚で読むことが可能だ。むしろ、普段は短歌を読まない人ほど短歌の魅力に気付けて楽しめると思う。

para-a.net

言語学バーリ・トゥード

実は去年から「ゆる言語学ラジオ」というYouTubeチャンネルにハマっており、その影響もあって手に取った本。

言語学のエッセンスを中心にした面白コラム集だ。日常と言語学を巧みに結びつけた話運びとキレのある比喩表現が魅力で、扱っているトピックス自体は学術的なのにスルスルと読めてしまう。

難しい話を面白おかしく、時に真面目に紹介するコンテンツが好きな方には刺さること請け合いな一冊だ。

para-a.net

世界の絶滅危惧食

より収量が多く、より頑丈で、より美味しいものと集約され、世界の食べものはひたすら均一になっている。米や麦といった穀物や、ブロイラーなどが顕著な例だ。安く栄養価の高い食材が安定して手に入るので、旧時代の品種や加工食品、それらにまつわる文化は世界的に失われつつある。

本書は、そんな失われつつある食文化(絶滅危惧食)についての本。紀行のようなキャッチーな文章ながら明確な主題のある濃い内容で、とても読み応えのある文化史本だ。

para-a.net

植物の体の中では何が起こっているのか

こちらも書評を書きそびれていた。

植物は光を浴びると、水と二酸化炭素を吸って、酸素を出す。光合成。小学校の理科でも習う事象だ。

では、そのとき、植物の細胞の中ではどのような反応が起こっているのか。どのような受容体が反応し、どのような反応が起きているのか。栄養は、水は、どのように植物の体の中で利用され、貯蔵されているのか。

そういった、「植物の分子細胞生物学」とでもいうべき内容を解説するのが本書である。

細胞の話や化学反応の話も多いので、いわゆる理系ではない人にはとっつきにくさを感じるかもしれない。だが、植物好きや、これまでなんとなく”そういうもの”として扱っていたことを解明したい人には全力でおすすめできる本だ。

 

おわりに

後半はやや読書量が落ちてしまったが、2023年上半期は面白い本をたくさん読むことができた。正直、厳選して紹介するのが難しかったくらいだ。

この記事を読んで、気になる本が一つでも見つかってくれると嬉しい。

 

まとめていて気づいたが、どうやら私は面白い本ほど書評を書くハードルが上がるらしい。

ここも面白かった、これも紹介しておきたい。でも詰め込みすぎると主張がブレる。ああでもない、こうでもない……

そんなふうにこねまわしては塩漬けにしたままの書評がいくつも出てきた。2023年下半期は、面白かった本の書評を優先して完成・公開できるようにしたい。